『帰納法発想』は実は『系統図法発想』である
『帰納法発想』に基づく経営戦略形成を説いた最も有名な著書は、『エクセレントカンパニー』であり、著者は当時マッキンゼーの経営コンサルタントであったウォーターマンとピーターズです。
『エクセレントカンパニー』とは超優良企業のことをいいます。
『エクセレントカンパニー』の共通の性格としては、
・小さな本社
・機軸を離れない
・顧客に密着する
・厳しさと緩やかさの同居
・・・・・
などがあります。
『系統図法』での具体的な対策確立事例
『小さな本社を実現する』という課題、ゴール・ビジョンを事例に『系統図法』で展開すると次のような分析ができます。
↑『小さな本社を実現するためには、戦略や計画の決定を事業部に委ね、本社スタッフを激減させる』
↑『戦略や計画の決定を事業部に委ね、本社スタッフを激減させるためには、戦略や計画の立案能力を事業部が持つ』
↑『戦略や計画の立案能力を事業部が持つためには、事業部長が経営者能力を持つ』
↑『事業部長が経営者能力を持つためには、自社内に経営者育成の教育機関を持つ』
↑『自社内に経営者育成の教育機関を持つためには、MBAや経営コンサルタント会社との提携を行う』
↑『戦略や計画の立案能力を事業部が持つためには、事業部が調査・企画能力を事業部が持つ』
↑『事業部が調査・企画能力を事業部が持つためには、経営管理者が戦略立案に参加し、戦略を形成する』
↑『経営管理者が戦略立案に参加し、戦略を形成するためには、経営管理者に市場観察、市場の変化の察知、技術の動向把握、経営戦略形成能力を持たせる』
↑『経営管理者に市場観察、市場の変化の察知、技術の動向把握、経営戦略形成能力を持たせるためには、企業内に管理者の戦略形成向けのカリキュラムを準備する必要がある』
ここからさらに企業の現実的な施策にまで落とすことがポイントです。※1
一度、ご自身で『帰納法発想=系統図法発想』を実行することです。
輪郭があるものを現実の場に引っ張ってくるのが『帰納法発想』
ビジョン、夢、スローガン、経営理念などは、中身が具体化されていない抽象的なものが多くあります。
戦略とは具体的な施策であって、抽象的なものではありません。
戦略論で言えば、
・結論・ゴール、あるべき姿を想定し
・それを実現していくプロセスを逆算して設定する
という役割を果たすものが『帰納法発想』なのです。
戦略では『気付き』が重要であり、『気付き』を職場の現実次元にまでブレイクダウンしてくるものが『帰納法=系統図法』による発想なのです。
能力全開120% ※2
経営者は多様な発想を行い、自社を様々な角度から捉え、戦略形成を行う必要があります。
その有力な思考方法の1つが『帰納的発想』です。
そのための手法が『系統図法』です。
多くの経営者が社員に意識改革、自己改革などを説く資格を有していません。
それは経営者自身が、意識改革や自己改革につながる行動・思考を行っていないからです。
単なる話の切り口として、意識改革・自己改革を口にしているだけなのです。
社員に意識改革を説いても、現実的にはいかなる効果もありません。
何をどうすれば意識改革ができるかを説いていないからです。
それよりもまず、経営者自身が『帰納法発想』を行い、『系統図法』を使用して、その効果を確かめます。
その上で、社員に例えば、『粗利益率を向上を実現する』、『重点得意先の売上高を向上させる』といった具体的な課題・ゴール・戦略を設定して、『帰納法=系統図法発想』を奨励するのです。
そうすると、<解>を出すために社員はもがき、自己の能力のなさを痛感します。
これについて、社員と社長がやりとりをするのです。
そうすると、どこで思考が行き詰っているのか、どこで思考の系統性が寸断されているのか(どこでつながらなくなったのか)といったことが理解できるようになるのです。
企業の現場に出向くと、『知恵のある者は、知恵を出せ、知恵を出せない者は汗を出せ、汗を出せない者は去れ』といった標語が書かれていることに気付きます。
これほど馬鹿な標語はありません。
なぜなら、社員全員に知恵を出せとは求めていない、あるいは知恵が出る社員に育成することを会社として行わないということを宣言しているからです。
この標語は、『私はバカだから、このまま汗をかいてガンバレばいいのだ』ということに帰結しています。
たとえガンバッテいなくても、人はガンバッテいると思っているのです。
だから、現状を変えることがない、極めて意味のない、バカな、損な、企業文化をダメにする標語なのです。
もっと言えば、企業の知的水準が低い、教育をしない会社であるということを宣言していることにもなるのです。
よく考えて、職場に持ち込んでほしいものです。
『系統図法』、『帰納法発想』をもって逆算で<解>を求めることをやってみてはどうでしょうか?
その前に経営者自身がやってみることです。
能力全開120%とは汗をかいてガンバルことではありません。
人は疲れるものです。
ガンバルということは1ヶ月間も続かないのです。
能力全開120%とは『自分で<解>を出す能力を高めること』なのです。
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※1 事例が大企業向けになってしまい申し訳ありません。しかし、理解はしやすいと思われます。
※2 これは私の言葉ではありません。ブルーグラスのミッションに書かれています。
系統図法活用のポイント
例えば、仕事が遅い、仕事の失敗が多いという課題に対する対策を考えてみましょう。
◆駄目事例
<仕事の間違いが多い>
→<仕事の標準化ができていない>
→<マニュアルを作る>
◆良い事例
<間違いが多い所を対象にしたマニュアルを作成する>
→<どこをよく間違えるか調べる>
→<1人1人にチェックリストで点検してもらう>
→<業務のプロセスを明確にしたチェックリストを作成する
この事例でお分かりのように、『間違いが多い所を対象にした』という個所がポイントになります。
このポイントを『展開ポイント』『掘り下げポイント』と私は呼んでいます。
この一文によって、掘り下げが行われるからです。
単にマニュアルを作るでは、そこで対策の連鎖が終了してしまいます。
掘り下げポイントになるものは
・現場の人達が喜ぶ
・わが社の現場マッチングした
・顧客のベネフィットを増す
・仕事が早く、楽になる
・きれいな仕事ができるための
といった言葉を用いることです。
系統図法は気づきを増す
現場で仕事がどのように行われているかが分からないと系統図法を活用することはできません。
何か課題を設定して系統図法で<解>を求めてみることです。
自分がいかに仕事を知らないか、どうしてこれほど対策確立能力がないのかを思い知らされることになります。
現場強い、仕事に精通している、知っている、分かっているとは言えなくなります。
我慢強く系統図法を展開してみることです。
やがて系統図法が頭に入りこみ、~をするためには○○をする。○○をするためには、××をするという形で『気づき力』が高まっていることに気づきます。
1人ブレーンストーミング
在庫が多いというテーマで自由に伸びやかな発想をしてみてください。
在庫が多いのは次の理由に因ります。
①販売していない
②カラーバランスを把握していない(悪いという表現は絶対にしてはならない。何もわからないからである)
③サイズバランスを掴んで発注していなかった
④そもそも顧客のニーズを把握せずに発注していた
⑤価格が合っていなかった
⑥エイャッで発注数を決めていた
⑦デザインが偏っている
⑧メーカーが偏っている
⑨早めに死に筋の認定をしなかった
⑩二重発注をしていた
⑪納期が遅れ、販売期間が短かった
⑫POPをつけなかった
⑬商品の説明がきちんとできていない
⑭早めに3980円にしなかった
⑮交換をすべきであった
⑯他店への店間移動をしなかった
⑰今週の重点販売商品として取り上げなかった
⑱インターネット販売の商材にしなかった
⑲流行とは外れた商品であった
⑳・・・・・
このような売れ残りの理由を途切れなくどんどん書けるようになると、1人ブレーンストーミングができているということになります。
1人ブレーンストーミングができるようになるためには、先の系統図法による産みの苦しみ、連関図法によるなぜ、なぜ発想、マトリクス図法によるひらめき発想などによる訓練と在庫というものに対する多様な視点が必要とされます。
気づきの発想
論理的な発想は主として分析に用いられます。
分析から得られたことを掛け合わせ、かつ自社の持つ技術、設備、機械、人材、スキル、資金などの諸条件を考慮して創出されるものが<解>なのです。
<解>は論理的思考ではなく、『うじゃぐちゃ思考』とでもいうものです。
それは右脳の所産です。
言いかえると瞬時に発生する気づきなのです。
これが単なる『ひらめき』であるか、自社の将来を切り開くような『きらめき』であるかが問われているのです。
『きらめき』は市場機会を捉えたものです。
『きらめき』を獲得するためには、経営脳として自己の頭脳を訓練していくことが求められています。
その第一歩が『系統図法』、『マトリクス図法』、『連関図法』などの習得でなのです。
それによって、『1人ブレーンストーミング力』が培養され、ひらめきが多くなるのです。
『経営脳』とは『他人の気づかないことに気づくということ』です。
経営者の自信とは、他社が気づいていない戦略を形成し、それを実現しているということにあるのではないでしょうか?
服部吉伸の最新著書『日本的クレド経営のすすめ』が発売されました。
形だけのクレドを提案するのではなく、
服部自身がこれまでのコンサルテーションで直面してきた課題を事例に
クレドを実現していくために何が必要なのかを明示した
クレドの本格的実践本となっています。

文理閣 1,680円(税込)
高校3年生の春休みからis、am、areはbe動詞、どうして『I is a boy』では駄目なのかというところから勉強をしました。
世の中には疑問を持たずに、丸覚えしなくてはならないものがあるのだと知らされました。
また、I my meの変化も知らなかった。
それでも頭の中は,、『都の西北』で一杯でした。
しかし、現実は厳しく、教育学部の合格可能性が数度の模試で一度だけ20%程度でした。
勉強はやらないとできないと自覚させられました。
そして、やってもできないという地頭の悪さにも気付かされました。
1週間に『夕陽と拳銃』と『プロボクシング』(海老原、原田、青木の時代)の2つしかテレビを見ずに頑張ったのに学力はさほど伸びませんでした。
この劣等感は長く続きました。
そのため、濫読から京大型カードでメモをとり、文章力の養成と覚えるということ、考えを整理するということを開始したのは、20代のことでした。地頭が悪いという自覚が系統図法を使わせた系統図法というものの存在を知らされたのは、QCを学習した時です。
こんなに便利な手法があるのかと感じたものです。
しかし、対策の連鎖は地頭の悪さを思いっきり知らせるものでもありました。
系統図法は
・~をするためには、~をする
・それをするためには、~をする
・それをするためには、~をする
・さらに、それをするためには、~をする
ということを限りなく連鎖させる手法です。
師匠のいない私はいつも独学です。
女房・子供が眠っている深夜に1人でもそもそとやっていました。
それも対策の連鎖らしきものをぶつぶつ言いながら、京大型カードに書き込んでいました。
経営コンサルタントは黙って座り、会議に出席している人が誰も気付いていない点に気付き、その日求められている結論を誰かが気付くように仕向けなくてはいけません。
つまりその日の落とし所を午前中に持っていなければならないのです。
そのために役立ったものが、『系統図法による結論・対策・戦略などの確立』でした。たとえば・○○商品の開発に成功するためには
・他社が持っていない特長を具備するようにしなければならない
・他社が持っていない特長を具備するためには
・マトリクスによってセグメントしなければならい
・他社の持っていない特長を見つけるためのセグメンテーションを行うためには、縦軸に○○を横軸に××を取りアイデアを出す必要がある
・ここで1つの結論に達していることから、ここから転調を行う
・縦軸に○○、横軸に××を取りアイデアを出すと(すでに京大型カードによる作成を開始している)
・ふむふむ、△△という機能を他社商品は具備していない
・□□という機能も他社商品は具備していないのではないか?
このようなことを会議のその場で考えるのです。
この場合、系統図法、マトリクス図法、ブレーンストーミング法の3つの手法を使用して結論に達しています。
このようなことを訪問するクライアントの会議中・仕事中にやって、結論を確立していたのです。
いつも命を縮める綱渡りの連続でした。
今もそうですが、『現場の持つ多様なニーズ=発生する多様な問題の解決』に対しては万全ではありません。
力不足を感じます。
それでも何とか、現場最前線というフィールドにいることができるのは、系統図法による『先まわり思考』にあったことは確かなことです。
系統図法を用いて対策を立ててみてください。
これも実際にやり続けてこそ、<解>が出る頭脳に鍛えることができるものなのです。