ラスベガスに行くのは、人口が急増しており変化が激しいからです。
私は特に、流通、マーケティング、マーチャンダイジング、戦略、ソリューション、営業などをテーマにしており、ラスベガスに行くと流通の変化がよく理解できるからです。
タクシーに乗って走り回ると
①ショッピングセンター
②ホームセンター
③スーパー・スーパーマーケット(SSM)
④家電量販店(ベストバイ、サーキットシティ、オーなど)
⑤カテゴリーキラー(トイザらス)
⑥1ダラーショップ
⑦アウトレット
⑧医薬品
⑨総合ディスカウンター(ウォルマート)
⑩オフィス関連小売店(オフィスデポ)
などが視認でき、じっくりと観察ができるからです。
1日に10数店舗も訪問するような視察も一つの視察方法なのでしょうが、
数を回るよりもじっくりと観察する視察も必要なのです。
店舗を外から一周するような視察は、どの視察も行なっていないと思います。
店舗の後ろに回ると荷受け場があります。
そこには、大きな丸い穴が空いています。
そこに物流の車両が来て、後ろ向きに車両を運転してトレーラーを外すのです。
そして、今度は空になって置いてある別のトレーラーを接続して帰っていくのです。
そのトレーラーは実際は空ではなく、不良品などが積まれているのです。
7つの百貨店がどのように棲み分けているのかを見つけるためには、
1ヶ所20分程度の視察では無理です。
どうしてヴィトン、グッチなどはフォーラムショップスにもその目と鼻の先のファッションショーモールにも店舗を出しているのか?
その理由は実際に顧客を観察してみないと分からないのです。
それはフォーラムショップスの顧客はほぼ100%がリゾート客であり、
ファッションショーモールの顧客は60%以上が地元の住民であるからです。
顧客別に店舗を設定しているのです。
ベンツに乗った上品な婦人が1ダラーショップに入りました。
この後を追っかけるのです。ただし、店内での買い物行動の追っかけです。
すると、この上品な女性は水を買い、こまごまとした家庭用の小物を買い求め、
滞店時間わずか8分で買い物を終えてベンツに乗って帰っていきました。
店舗内の歩き方を見ていると、よくこの店を利用していることが分かります。
なんと、ここで販売されている水は1リットル入りが3本で1ドルなのです。
店舗の広さは800坪以上、日本の100円均一のどの店舗よりも大きいのです。
ウォルマートの店内を歩いていると、プライスカードが付いていない商品が目立ちました。
店員を見つけてhow muchと聞きました。
すると、店員は『oh I don’t know.』と言ってその商品の価格を調べようともしないのです。
そして、立ち去っていくのです。
売場の乱れ具合、店員の接客態度などからウォルマートも大企業病になっているのだ、
サム・ウォルトンも嘆いているのではと思いました。
ウォルマートが西友を傘下にした時、『日本に流通再編が起こる』と報じられました。
ところが、プロフェッショナルである我々は『何も起こらない。起せない』という判断をしていたのです。
ウォルマートがちっとも怖くないのは
○1ウォルマートの衣料品が日本では通用しないこと
②日本では生鮮食品を安価に販売できないこと
③1フロアのスーパー・センターを建築できる土地が少ないこと
④1フロアのスーパー・センターではなく、ショッピングセンターを建設しないと採算が取れないこと
などに理由があります。
アメリカでウォルマートは単独出店を行なっており、既存のショッピングセンターのすぐ近くに店舗を出してくるという出店戦略を採用しています。
しかし、日本ではそうは都合よく既存のショッピングセンターの近隣に土地があるわけではありません。
また、1フロア5000坪の見晴らすような巨大な店舗、いわゆる『平場』という売場でファッション関連の商品を買うことを日本人はしないのです。
日本人の多くは専門店であるいは平場の売場であっても、しまむら、西松屋のように1000坪以内の利用しやすい店舗で買い物をしようとする傾向が強いのです。
このような様々な理由から、世界最大の流通企業であるウォルマートは日本では通用しないのです。
それは、アメリカでウォルマートの視察を何回も行ない、現地・現場で立地、価格、品揃え、商品の水準、業態、オペレーションなどをじっくりと観察し、『これを日本に持ってきたらどうなるか?』ということを考えているから分かるのです。
ラスベガスでウォルマートは繁盛しています。
しかし、繁盛しているのは食品の一部、生活関連商品であり、
衣料品などは非常に厳しい状態であると思います。
私はラスベガスで必ず朝食をとります。
それもゆっくりと1時間以上かけて楽しみます。
まずお店に入ると『スモーキング?』と聞かれます。
この程度のことは私にも分かりますので、スモーキングエリアの席につきます。
すると、『カフィ・オア・ジュース?』と聞かれます。
『カフィ』と言います。
そして、自分で取りにいくのは、まずオレンジジュースです。
このオレンジジュースがおいしいのです。
ビタミン不足の私には、全身にビタミンCが届けられるような気持ちになります。
バフェはいわゆるバイキングですが、必ず目玉になるようなメニューをホテルごとに調理士が目の前で作っています。それがオムレツであれば、それをもらいます。
コーヒーは飲めば、その都度ついでくれます。本当に何回もついでくれます。
そして、バナナ、りんごなどの果物をポケットに突っ込んで朝食を終わります。
バナナ、りんごなどは私の昼食になるのです。
しかし、視察の場合は同行者に全部とられてしまいます。
視察の場合の昼食は、ショッピングセンターの飲食ゾーン、ファミリーレストラン、ファーストフードになってしまいます。
『タコベル』というメキシカン料理のファーストフード店が好きです。
マクドナルド、サブウェイやその他のファミリーレストランが日本に進出しているのに、タコベルだけが日本に来ていないのはなぜか?などということを考えながら、タコベルに入っています。
バーガーキングは大き過ぎて食べるのが大変です。
また、コーラはアメリカのSサイズが日本のLサイズです。
ラスベガスのレストランは
①ホテル内の専門店
②ホテルのバイキング
③カジノフロアのバッフェ
④ハーレイ・ダビッドソンカフェのような路面店
⑤ショッピングセンター内の専門店
などがあります。
バイキングで有名なのは、ベラジオとパリスです。
いずれも30ドル程度ですが、酒類は別会計になります。
長蛇の列であり、1時間待ちという状態です。
ホテル内の専門店は、中華、和食、フランス料理、イタリアン料理、ステーキハウス、鉄板焼きなど世界のグルメが揃っています。
今度はシーザースパレス内の鉄板焼き、トレジャーアイランドの中華を食べようというように計画を立てて行くとよいと思います。
ただし、鉄板焼きなど日本人が関与する店は100ドル程度かかり、とても高いという印象です。
どうしても日本料理が食べたくなったら、フラミンゴ・ヒルトンの地下に和食店があります。
チップ込み30ドル程度で食事ができます。
てんぷら定食、さしみ定食などがあります。
多分、ここが日本料理店で最も安価であると思います。
夕食を安く上げようとしたら、実はカジノフロアのバフェが安価です。
草履くらいの大きさのステーキが9ドル~10ドルで食べられます。
酒はカジノのスロットの前に座り、スロットをせずに女性にドリンクを頼めば良いのです。
1ドルで飲めるのです。
ロードサイドのレストランに夕食を食べにわざわざ出かけるということは少ないです。
しかし、夕方から出かけて、買い物を終えてモール内で食事ということはよくあります。
この場合、ステーキ、イタリア料理などを食べています。
モートンのステーキはとんでもなく大きく、じゃがいもの大きなものが1個ついてきます。
サラダは2人ないしは3人で1人前を頼むようにしましょう。
私はもうそんなに食べられなくなっています。
それでもモートンのステーキを半分残してもいいから食べたいと思っています。
他によく行く店はフォーラムショップスの最奥の噴水のそばのイタリアンレストランです。
ステーキは40ドル、イタリアン料理は25ドル程度で楽しめます。
視察旅行に行く前に、例えば今年の冬物で買う必要があるものは何か?と考え、
それを一覧表にしてアメリカに持っていきます。
そして、その一覧表を見ながらアウトレットで買い物をすると掘り出し物に出会うことがあります。
例えば、メモに基づいて
①バーバリーのコート・・・・・145ドル
②ナイキのシューズ・・・・・・39.99ドル
③紳士セーター・・・・・・・・24.99ドル
④婦人セーター・・・・・・・・24.99ドル
⑤コーチのバック・・・・・・・310ドル
⑥ウェッジウッド・・・・・・・14.99ドル
⑦シーツ・・・・・・・・・・・9.99ドル
といったような買い物になります。
これで少なくとも10万円くらいは安価に買えていると思います。
旅費の一部が浮いた気分なります。
ナイキは中国製であり、繊維はメイド・イン・南米(ジャマイカなど)が多く見られます。
これらは日本で買うのとそうは価格に違いがありません。
バーバリーのコート、コーチのバック、ウェッジウッドなどは相当価格が違います。
賢い買い物は、衝動買いをしないようにメモに必要な商品を書き出していくということと、
アウトレットでリストにある掘り出し品を一生懸命探すということだと思います。
それからもう一点、カジノで1000ドル以上出したら直ちにやめることです。
そして、ファッションショーモールかフォーラムショップスに出向いて、
思い切って800ドルを出してラグジュアリーブランド品を買うことです。
ズルズル、カジノをやっていると絶対に負けてしまいます。
『出たらやめ!』を励行することです。
出なかったら??それを負けというのです。
なお、アメリカのスロットは日本とは違い、目押しができません。
機械が勝手に止まります。ですから、大当たりは突然やってきます。
貧乏スロットと呼ばれるのは5セントのスロットです。
他は25セント、1ドル、5ドルなどがありますが、
3枚ないしは4枚入れないと大きな当りになりません。
10億円を超える大当たりは、1ドルのスロットが多いということです。
100ドル負けるのに10分ほどしかかりません。
くれぐれも慎重に…
『ベラジオ』には小さなモールがあります。
エルメス、グッチなどのラグジュアリーブランドのショップが10店舗ほど入店しています。
ホテル内にある最も大きなモールは、有名な『フォーラムショップス』です。
これは『シーザースパレス』に併設されています。
2005年にさらに増設され、その存在感を増しています。
専門店が300店舗以上入店しており、グッチ、シャネル、ヴィトンなどがあります。
多くの専門店では全米統一価格で販売されており、
リゾート地のラスベガスだからといって高価格になっているわけではありません。
日本と比較してヴィトンなどは2割程度安価であり、コーチなどは4割程度安価となっています。
名古屋出身のコーチの女性店員が、コーチの日本での価格が極めて高価格になっていることを
本当に怒っていました。
それはここで買えというシグナルでもあります。
お台場のモールの天井はフォーラムショップスにある専門店街の最奥の雰囲気を真似したものであり、オリジナル性に乏しく、『ちゃち感』『ミニチュア感』があります。
日本を代表するモールが、猿真似であることは極めて残念なことです。
『トレジャーアイランド』で一旦ホテルが途切れることを前号で書きました。
トレジャーアイランドの向こう側には『ファッションショーモール』があります。
ここには高級百貨店の『ブルーミングデール』『サックスフィフスアベニュー』『ニーマンマーカス』、中級百貨店の『ノードストローム』『ディラード』、中級以下の百貨店である『ロビンソンメイ』『メイシーズ』という7店舗が入居しています。
ちなみにミネソタにある『モール・オブ・アメリカ』、アナハイムのサウス・コーストプラザなどのスーパー・リージョナル型ショッピングセンターでも4核店舗となっています。
アメリカのショッピングセンターには、『スーパー・リージョナル型ショッピングセンター』『リージョナル型ショッピングセンター』『ネバーフッド型ショッピングセンター』『コミュニティ型ショッピングセンター』という4タイプがあります。
百貨店が7つも入居しているのは、ラスベガスのファッションショーモールだけです。
7つの百貨店を2日間かけて視察し、品群構成を書き出し、デベロッパーがどのように7つの百貨店を棲み分けさせているのかを分析したことがあります。
紳士服はニーマンマーカス、婦人服、婦人小物のベタープライスはサックスが担当しています。
生活用品、リビング用品はブルーミングデール、靴とアパレルのモデレートはノード・ストローム、ディラード、安価な商品はロビンソンとメイシーズがフルラインで担当しています。
見事な棲み分けというよりも消費者への提案・表現が行なわれているのです。
凄い能力をもつ人材がデベロッパーにいることが推察できます。
ちなみにアメリカの百貨店には『デパ地下』はありません。
食品を扱っていないのです。
また、ターミナル立地というものがほとんどありません。
一方、リゾート客相手のモールはアラジンの中に『デザートパッセージ』があります。
このモールには専門店が300以上入店していますが、有名なブランドがあまり入店しておらず、
安価で利口な買い物をしようとする場合にはお奨めです。
来客数が少なく、客寄せにパントマイム、軽業、アフリカのショーなどを行なっています。
掘り出し物を探しながら、けっこう楽しむことができます。
モールを造った限りは何としても客が来るようにしようという経営側の気迫が感じられ、
私は好感を持っています。
『ベネチアン』にも少し小振りですが、立派なモールがあり専門店が100以上入っています。
ここは放置しておいても顧客が来るモールであり、
単にきれいで清潔なモールであるという印象しか受けませんでした。
『ゴディバがあったなあ』と思い浮かぶ程度です。
他にリゾート客が訪れるのは『ファクトリーアウトレット』です。
これは3ヶ所あります。
アウトレットに行くバスが、ニューヨーク・ニューヨークから出ていました。
ちなみにわが家にあるウェッジウッド、ロイヤルコペンハーゲン、ロイヤルドルトン、ノリタケなどのカップは全て14ドル99セントです。
どこに色の飛びがあるのか、どこがおかしいのかが全く分かりません。
全てファクトリーアウトレットで購入した女房のコレクションです。
ラスベガスの空港はなぜか『マッカラン空港』といいます。
これは人の名前ですが、何をした人かは知りません。
空港から最も近いホテルは、金色に輝く『マンダレイベイ』です。
マンダレイベイの上部のフロアが最高級リゾートホテルである『フォーシーズンズ』になっています。
自分の記憶がどの程度のものであるかを確認するために、ラスベガス考は地図を見ないで書こうとしています。
ストリップ通りに面して、空港から見て左側のホテルを見ていきます。
マンダレイベイを過ぎるとピラミッド型の建物である『ルクソール』があります。
その隣がおとぎの国の『エクスカリバー』です。
この2つのホテルは、ウォーキングのエスカレーターでつながれています。
ルクソールはAクラス、エクスカリバーはBクラスのホテルです。
道路を隔てて、日本人建築家が設計した『ニューヨーク・ニューヨーク』があります。
ここから少しホテル群が途切れます。
次にあるのは、ヨーロッパ調のファサードを持った『モンテカルロ』です。
真っ白なホテルで清潔感がただよっています。
ルクソールからモンテカルロまではモノレールが通じています。
これは同系列のホテルを結ぶものです。
モンテカルロからまたホテル群が途切れます。
次にあるのは『O(オー)』(有料)というショー、それと噴水のショーで有名であり、かつSクラスホテルの『べラジオ』があります。
私はまだ宿泊をしたことがなく、女房と『次回は絶対にベラジオに泊まろう』という話をしています。
この話をしていることが楽しみであるのです。
ベラジオの噴水ショーは、いつまで見ていても飽きないものです。
道路の向こう側にはかつてのSクラスホテルであり、古代ローマをコンセプトとする巨大な『シーザースパレス』があります。
ホテルが大き過ぎて、部屋に辿り着くのに迷子になってしまった記憶があります。
シーザースパレスの隣のホテルは『ミラージュ』です。
この名前が出てこないので女房に聞きました。
すると、すぐにミラージュと教えてくれました。
これもかつてのSクラスホテルです。
火山のショーで有名です。
昔、ボクシングのヘビー級のカシアス・クレイのタイトルマッチが15,000人集めて
ミラージュで行なわれていましたが、ホテル内にその会場があります。
その隣のホテルが『トレジャーアイランド』です。
最初に無料の海賊船のショーを始めたのはこのホテルです。
ショーの最後に海賊と戦う海軍の船長が水中から出てくるのですが、
今もってどういうカラクリになっているのか分かりません。
ここからはホテル群が大きく途切れ『サーカス・サーカス』『タワー』などに辿りつくまで2~3キロはあります。
ここまでが空港から見て左側のホテルです。
右側は小さなホテル(実は泊まったことがありません。かつて日本人が経営していた唯一のホテル)を省略すると、
ニューヨーク・ニューヨークの向かい側に映画会社が経営する『MGMグランド』があります。
MGMは建ってから10年以上経過していますが、今もってラスベガス最大の部屋数を誇るホテルです。
映画の最初にライオンが咆哮している姿が映る場合はMGM制作の映画です。
ホテルの前にも巨大なライオンが鎮座しています。
また、ホテルの中にもライオンを飼育しています。
ここから少しホテルは途切れますが、ハーレー・ダビッドソン・カフェがあります。
次にあるホテルは映画などでラスベガスが映されると巨大で丸く青色の風船が目に飛び込んでくることがある『アラジン』です。
アラビアの雰囲気を出しており、ホテル内には巨大なモールがあります。
次にあるホテルの前にはエッフェル塔が建っています。有名な『パリス』です。
比較的小振りなホテルであり、バッフェが30ドル程度でメニューが幅広く揃えられており人気があります。
その隣のホテルが『バリーズ』です。
以前はバリーズとMGM間だけがモノレールで結ばれていましたが、
今はモノレールが有料になり距離も延びています。
その隣が『フラミンゴ・ヒルトン』です。
ストリップ通りに最初にできた本格的なホテルです。
今は3000室未満の規模であり小振りといえる規模になっています。
このホテルを建築したのはマフィアであり、その後、抗争によって射殺されています。
フラミンゴの裏側、ストリップ通りから1キロほど離れたところに『ハードロックホテル』があります。
ギターの広告塔があります。
ハードロックカフェのTシャツはどこでも入手できますが、ハードロックホテルのTシャツはここでしか販売していません。
プレミアがつくと言われていますが…。
フラミンゴとベネチアンの間に2つホテルがありますが、格安旅行用のホテルで名前を忘れてしまいました。
『ベネチアン』はSクラスのホテルです。
中世ヨーロッパのベネチアをコンセプトとしたホテルでシックなのに変な重さを排除した親しみやすい良いホテルです。
ホテルの中に運河があり舟に乗せてくれます(有料)。
また、ホテル内にモールがあります。
最後は『ウィン・ラスベガス』です。
2005年にオープンした最新のSクラスホテルです。
ファサードが紫色のホテルです。
この後方に、『ラスベガス・ヒルトン』という老舗のホテルがあります。
以上、ストリップ通りのホテルの案内でした。
全てのホテルの1階が巨大なカジノになっています。
カジノは21歳にならないとできません。
日本人、特に女性は若く見えるためでしょうか、よくパスポートの提示を求められます。
ある高校生の子女がカジノで大当たりを出したのですが、
年齢が21歳になっていなかったため無効の措置がとられたことがあります。
その父親が『私が出した』と主張しましたが、ビデオが娘さんが大当たりを出した瞬間を捉えていました。
セキュリティを兼ねてカジノは全面的な監視下にあります。
また、ドリンクはカジノでは無料ですが1ドルのチップが必要です。
私はアメリカの流通視察、ベンチャー企業視察、メーカー視察の最後にいつもラスベガスを入れています。
『遊びに行っている』という感を持つ人がいます。
現実に『ラスベガスが入っていて視察旅行なのですか?』と言われたこともあります。
しかし、私は今もラスベガスを視察旅行の最後に入れています。
それは意地とかではなく、考察に値する都市であると考えているからです。
ラスベガスには15回以上は訪れ、訪れるたびに新鮮な驚きに遭遇しています。
アメリカは地方の国です。自治も発達しています。
日本の東京のように一極集中ということもありません。
アメリカで人口が100万人を超える都市は、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、ヒューストン、フィラデルフィァ、フェニックス、サンディエゴ、ダラス、サンアントニオの9都市を数えています。
人口がアメリカの半分しかない日本では、横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市、神戸市、京都市、福岡市、川崎市、さいたま市、広島市、仙台市、それと東京を加えると12都市になります。
日本の場合、行政区と都市圏の規模が似通ったものになっています。
しかし、アメリカでは都市圏人口が極めて大きくなっています。
それを裏付ける資料として豊岡社長は、『ラスベガス市は行政区域で見ると、53.4万人(2005年)でラスベガス都市圏では195.2万人となり、都市圏比較では全米26位となっております』と述べておられます。
アメリカで人口が最も急激に増えている都市のひとつがラスベガスなのです。
ラスベガスの『ストリップ通り』のホテルに泊まり、ショーを観たり、モールで買い物をしたりしているだけではラスベガス発展の理由は分かりません。
いや、むしろストリップ通りの発展がラスベガスの発展の一部を象徴的に代表している可能性が高いと思われるのです。
私は、ホテル、買い物、観劇、食事などについてラスベガスのガイドができる程度の知識があるかもしれない。
京都には、年間5000万人の観光客が来るといわれています。
ラスベガスは3500万人です。訪れる人数はラスベガスの方が遥かに少ないのです。
ラスベガスの立地を見るとネバダ州の砂漠の真ん中にあります。
ロサンゼルスから車で5~6時間かかります。
観光客のほとんどは飛行機での乗り継ぎによるものです。
日帰り旅行は少なく、その多くが滞在型の観光客です。
この『観光客』という概念が、当てはまらないのです。
ラスベガスの顧客は、観光客ではなくリゾート客であり余暇を楽しむ滞在型顧客なのです。
ラスベガスに来るリゾート客は滞在型であり、アスレチック、体の手入れ、肌の手入れ、観劇、買い物、食事、ファッション、家族の親和など複合的な目的を持って訪れている顧客が多いのです。
その一方で、老後をラスベガスで過ごす、職を求めてラスベガスに来るという人も多いのが現実です。
アメリカの住宅街形成は、まずゴルフ場を造り、その回りに住宅を配置するというのが中級以上の住宅街にとって通常の姿です。
ラスベガスの住宅もこの例に洩れません。
また、住宅は5~7棟程度をまとめて施工することから住宅建設の生産性が極めて高く、短期間に5~7棟が同時に竣工してしまいます。
日本とは建築法が違うため、アメリカでは建築中の家の周りに足場などはありません。
アメリカ人が働かないというのは嘘です。
休憩はありますが、建築現場で昼寝をしたりおやつを食べたりする時間はありません。
ドア、トイレ、バスなどが全米統一規格になっており、据付工事が極めて楽にできるようになっています。
つまり、ビスを打つ場所、本数などが統一されているということです。
フェニックス、ロサンゼルス、ラスベガスなどで住宅の建築現場を見ましたが施工の生産性は極めて高いのです。
建築資材について見てみると、例えばシステムキッチンの価格が最も大きいもので2800ドル(33万円)、通常のものであれば1600ドル(19万円)程度であり、極めて安価なのです。
アメリカでは建築資材卸が存在しないことから、建築業者はホームセンターに出向き、
そこで『業者価格』で仕入れて据付をしているのです。
日米の小売業態で最も品揃えが違うのはホームセンターです。
日本のホームセンターもようやく建築業者向けの品揃えを充実させてきていますが、
家を建てられる品揃えをしているのがアメリカのホームセンターなのです。
日本のホームセンターはバラエティーストアの域を出ていません。
ラスベガス考なのに小売業態や住宅の話になってしまいましたが、
ラスベガスの住宅もこのように建てられているということです。
そして、もう一つゴルフ場にはクラブハウスを有しているものとそうでないものとがあります。
クラブハウスのないゴルフ場はその多くがパブリックであり、
プレーをした後はそのまま自宅に帰り家でシャワーを浴びます。
クラブハウスは近隣住民のミーティング、パーティー、家族団らんなどで使用されており、コミュニティ形成に大きな役割を果しています。
日本ではコミュニティという概念が希薄です。
しかし、アメリカのシルバーはシルバーの街を形成し、教会、病院、自警団、趣味の会、介護などを相互にボランティアとして活動し、助け合って、生きているのです。
ラスベガスの発展はストリップ通りのホテル、ショー、モールの発展による雇用増、それに必要とされる流通、医療、教育、サービスなどの集積による雇用増によって人口が増えているのです。
その一方で目立たないのですが、
ボランティアによる相互扶助の仕組みを持ったシルバーの移住も人口増をもたらしているのです。
誤解のないようにしておきます。
経営者と1時間以上、時には2時間を超えて話をします。
そして、最後に『先生、やはり経営は人ですね』という経営者がいるのです。
それも何人もいるのです。
経営資産には、ヒト、モノ、カネ、情報などがあり、
ヒトが大切であり、重要であり、これがなくては経営ができないことは当り前ではないでしょうか。
にもかかわらず、『やっぱり、経営は人ですね』という考えが先祖がえりしており、
一つも論理を展開できていないのです。
このような思考方法では次元の高い経営を行なうことはできません。
ましてや、人を生かす方法も学習の奨励もせずに、単にヒトが重要だと言っているのです。
このような経営者は『やはり技術が大切だ』『やはり情報が大切だ』と言うだけで、
何も前に進むことができていないのです。
この『先祖がえり発想』も中小企業病の一つであるかもしれません。
ヒトが重要だと思うのなら、野中郁次郎の著書を読んでみたらいいのです。
難解で投げ出してしまう人が多いかもしれません。
しかし、『やはり経営はヒトですね』と言うのなら野中郁次郎の『知識創造経営』『知識創造企業』などの著書を読了し理解することが求められていると思います。
この程度の努力をすることは、『経営はやはりヒトですね』と言った経営者の責務だと思います。
そして、我社が知識創造企業になるためには、何をどうすべきかを考えていただきたいと思います。
経営コンサルタントは、それなりに学習をしています。
読了後、しょうもないと感じる本が多いのですが、中には優れた労作があります。
それをお知らせし、効果的・効率的な学習のお手伝いをすることも経営コンサルタントの役割の一つになっています。
ここでもう一度、学習する組織について考え方をまとめて次の項に進みたいと思います。
学習する組織には
①経営者が、まず、学ぶ姿勢を確立する
②業績向上と能力開発の長期的プログラムという視点を持つ
③どこで学ぶか
④何を学ぶか
⑤どのように学ぶか
⑥誰を、学習の主たる対象とするか
⑦学習課題に対して、つまり、何を学ぶかに幅を持たせる
⑧学習する組織に対応した処遇制度を考える
⑨学習の困難性を理解し、学習環境を整える
⑩学習へのモチベーションを高め、継続するための対策を立て・実行する
といった措置が必要とされるのです。
中小企業経営の特性の一つに
『トップの決断がなければ、表立っては何一つとして導入できない』
ということがあります。
このことから学習する組織については、
勉強する経営者を持っている中小企業のみが導入できる可能性を有しているのです。
学習する組織をつくるためには、経営者の姿勢・考え方、リーダーシップが必要です。
経営者は、
①長期的な視点で育成する
②ナレッジ・マネジメントの準備を行なう
③学習の場と時間の設定を行なう
④社員に対して、なぜ、学習が必要なのかという目的の明示と動機付けを行なう
⑤社員の学びに対する自発性の涵養を行なう
⑥情報システムの活用促進をはかる
⑦学習する組織のデザインを行なう
⑧学びの多様化の提案を行なう
⑨あまりにもトップダウン・カリスマ経営の場合は、社員はトップについていけばよいのだと思っており、依存心が強く、自律的に学習をしない。服従と学習は根本的に違う。このため、参加型経営の提案が必要とされる
⑩アンラーニング(学んではいけないこと)の明示を行なう
などを考慮することが要求されます。
冒頭に『表立っては・・・』という表現を使っています。
学習する組織は企業トップでなくても、少数のグループ、事業部、部・課でも導入が可能です。
『学習は小グループから始まり、水平方向へと徐々に広がり、その後ようやく上向きに進展していくケースが多いことが分かるはずです』と述べたのはシャインです。
つまり、経営幹部・管理者自身が預かっている支店、部、課、営業所、工場などで導入することが可能なのです。
私がサラリーマンをしていた若い頃、月1回のペースで『流通研究会』というものを開催していました。
学生時代には『資本論研究会』を開催していました。
このように個人のレベルでも学習を行なうことは可能なのです。
経営者はこのような学習の芽が企業内に存在していることを発見することが求められています。
だからといって、この学習に支援・援助を行なえばよいというわけではありません。
そのような挙に出れば、『私達は自主的に学習をしているのであり、関与しないでもらいたい』あるいは『会社が関与するのなら、もうやめた』ということになりかねません。
日本的経営は
①ミドルを優れた層として育成する
②ミドル・アップダウン・マネジメントを行なう
③ミドル層と共に、経営戦略を形成する
④ミドル層が分配された経営戦略を実現・完遂する
⑤そこから好業績を引っ張り出す(多くのは今年度の戦略ではなく、過去の戦略によるが)
⑥ビジョンの中に、経営戦略を位置づけ、長期的視点で、経営を行なう
というのが一般的な姿です。
このような状態になっていない中小企業は、以上の6点を実現することが学習する組織の目的となります。
以上6つのどの項目を見ても、学習をする・させる以外に方法はないのです。
ミドル・アップダウン・マネジメントを行なうためにもミドル層と共に戦略を形成するにもすべて学習が必要とされるのです。
このことから、中小企業では学習する組織をつくることが経営の背景にあることを認識していただきたいのです。
付言しておきますが、私の学習する組織作りのお手伝いから言えることは、
学習する組織を設計し、ていねいに学習する組織作りを行なうプロセスが
好業績を確保する最も早い方法であるということです。
先に学習課題には
①『基本学習課題』
②『職務上学習課題』
③『特命学習課題』
④『個人的学習課題』
があることを述べました。
全部門の基本学習課題は
①社内諸規定・制度の理解
②文書実務の習得
③コンブライアンス
④ビジョン、中期経営計画、経営戦略
⑤予算制度
⑥ミッション・スティツメント
⑦プレゼンテーション
⑧プロジェクト運営方法
⑨ナレッジライブラリィ
⑩知識創造スパイラル
⑪システム
⑫部下の育成法
⑬価格政策
などがあります。
職務上必要とされる学習について営業を事例に見ると
①財務、製造、品質管理という関連知識
②営業展開法
③営業管理
④マーケティング、マーチャンダイジング
⑤商品開発
⑥得意先管理
⑦営業パターンの習得
⑧営業戦略
などがあります。
『特命学習課題』には
①プロジェクト展開に必要とされる知識であり、市場調査、商品開発などのスキル・ノウハウ
②その他の特命課題に対応する学習課題としては、品質管理、クレーム対応、業種・業界分析、ベンチマーキング、各種分析
などが求められます。
『個人的学習課題』としては
①自己の弱い分野の克服
②自己の強い分野のより一層の強化
③自己のありたい将来像を描き、それに近づくために必要な課題
といったものが挙げられます。
この設計図は企業ごとに作成することが求められています。
ここは経営者自らが考えるべきところです。
なぜなら、カネを除くヒト、モノ、情報を優れたものにしていく基本的対策部分であるからです。
経営者はこの点を避けたり、経営コンサルタントに丸投げしたりしてはいけないのです。
自社の将来像を描きながら、優れた経営資源を創造するという、まさに経営者が行なうべき業務であるです。
また、『とりあえず』『一応』『早い話が…』という応急対策が入り込む余地のない本格的思考が要求される場となっているのです。
社員に学習の場を設定するために、まず経営者自らが学習の場を設定する必要があります。
経営論集は、ダイジェスト版になっています。
元原稿は『苦言・迷言・提言』といいまして、服部吉伸が不定期に配信しています。
配信先は、弊社のクライアント様、服部吉伸の知人・友人・教え子達であり、
様々な分野で活躍されている方たちです。
現在、元原稿である『苦言・迷言・提言』は、A4で400ページに達しています。
元原稿をご要望の方は
◆氏名
◆会社名、部署・役職名
をご記入の上、服部吉伸までメールにてご連絡ください。【メール送付先】
服部 吉伸<hatto.suru@nbcjp.com>
学習の場としては
①会議
②朝礼
③自身の戦略形成
④会社の経営戦略の理解
⑤各種プロジェクト
⑥外出禁止日の設定によるブレインワーク
⑦ナレッジライブラリィに搭載するナレッジ・メモの作成
⑧月次決算書の分析と対策の確立
⑨自身による売上・利益予算の編成
⑩OJT
⑪ショートミーティング
⑫集合教育
⑬外部への教育派遣
などがあります。
学習には能力向上、業績向上、チーム・組織への貢献に対する効果・有効性などが問われます。
経営者・経営幹部・管理者に求められることは、
以上のような場、場面、機会を『学習の場』とするという考えを持つことなのです。
学習とは、知る、考える、気付く、考えを改める、《解》を出す、反省する、原因をつかむ、対策を立てる、新しい次元の行動に向かう、アイデアを創出する、知識を掛け算する、形式知化する、諭す、反省するなど多様な内容を持っています。
ここには『ガンバレ』『何とかせよ』『気をつけよ・注意せよ』というマネジメントの3大バカ用語は存在していないのです。
私は会議の場を学習の場として位置付けています。
そして、営業部門に対しては
①経営戦略の理解の場
②分配された戦略を成就させる方法
③営業部門独自の戦略形成
④売上・利益予算の編成
⑤商品開発
⑥ナレッジライブラリィに搭載する重要な営業課題の形式知化
⑦営業・マーケティング・マーチャンダイジング理論の習得
⑧進捗管理
⑨新規開拓
などを学習する場としています。
必要なことは優れたカリキュラムに持ち込むことです。
会議を通じて、営業関係者は知らず知らずのうちに、
そしていつの間にか急速に成長しているのです。
自社の学習の場をどのように設定しますか?
『ガンバレ』『何とかせよ』『気をつけよ・注意せよ』というマネジメントの3大バカ用語を排除し、
かつ説教や長談義をやめ、『昔はなあ…』『最近の若い者は…』といった古い価値観の押し付けをやめることによって、学習の場としていくことが可能になるのです。
学習する組織を構築していく場合、
会社として学習の場、学習の時間、学習課題を設定していくことが求められています。
就業時間の16%を自由な発想を行なう時間として奨励している3Mは組織的に学習する時間を設定していることになります。
GEの7代目CEOであったジャック・ウェルチは、
本社を極限にまで小さくし、本社スタッフの権限を削ぎラインの長に戦略の形成と実行を委ねました。
これはミンツバークの戦略の分類からすると、
戦略形成者と戦略実行者が別々であるというプランニングスクールからの決別でした。
本社機能を小さくし、ラインの長に戦略形成を委ねるとどうなるのでしょうか?
まず、ラインの長が戦略形成と実現能力を具備しなければなりません。
そのため、GEは研修所をつくり幹部教育を行いました。
その幹部教育は研修所に集められることから
①学習対象者の設定
②学習課題
③学習の場
④学習の時間
などがすべて強制になっていたのです。
この『強制』を拒否すれば、GEを退社せざるをえないのです。
しかし、経営幹部として必要な知識、スキル、ノウハウを身に付けられるということと、
選ばれた人材であるという誇りから真剣な学習が繰り広げられました。
中小企業だけではなくすべての企業において、
GEと同様、学習には一定の強制が伴うことになります。
例えば、会議において
・業績の進捗と対策の実行に関する報告
・追加対策の確立と実行促進の指導・援助・アドバイス
・来月以降の売上予算達成に対する具体的で、効果的な対策確立の指示
といったことが正しく行なわれていれば、それは学習の場になります。
また、効果的で具体的な指導・援助・アドバイスがなく、
言い訳を長時間にわたって行なわせていたり、
単に『何とかせよ』『ガンバレ』『最低、この線は死守せよ』といった
マネジメントにならないことが管理側から行なわれていたりする場合は、
『アンラーニング』つまり学んではいけないことに関する学習の場になってしまうのです。
このように次元の低い会議が開催されていたとしても、
そこは学習の場であり会議への出席が義務付けられている限り、そこには強制が働いているのです。
この『強制』には会議のように出席が義務付けられている絶対的強制があります。
職務上、新たに任命されて、財務、品質管理、営業、製造などの職務につく場合に発生する職務上の学習強制、つまり学習しない限り、職務遂行ができないという性格を有している学習もあります。
商品開発をはじめとする各種プロジェクトメンバーに選ばれ、
多くのメンバーと共に目的を達成するプロセスで発生する個別課題成就型学習があります。
これも根本のところでは、メンバーに選ばれたから学習をしているという『強制』が働いています。
嫌々、プロジェクトに参加したり、プロジェクトの中で活躍の場面がなかったりした場合には強制と感じる度合いが高くなり、おもしろく・楽しくやっている場合は強制感はありません。
ISOの導入、IPOを全社に呼びかけ、多くの社員が関わりあいをもつ場合も『強制』です。
社員がISO、IPOの必要性を真に感じ、その導入・実現に協力した場合、強制感は相当程度薄らぐことになります。
学習の強制という課題については、目的、意義、必要性などを
会社のビジョンとの関連の中で明確にし社員の理解を取り付けること、
また、社員が参加して意義あるモノになるよう内容と方法を吟味することが求められています。
どの学習にも『強制』は働きます。
それを『強制』と感じさせないことがポイントになるのです。