『鳴かず飛ばず』の製品・サービス・ビジネスがあります。
また、『瀕死』の製品・サービス・ビジネスがあります。
これらを総称して『リビングデッド』と言います。
正しい表現になっていないので、少し掘り下げて考えましょう。
『鳴かず飛ばず』がさらに深刻度を増してくると『瀕死』になります。
ですから、『リビングデッド』とは『鳴かず飛ばずの状態である』ということになります。
ここで必要とされるものが、前号で述べた『アントレプレナーシップ』なのです。
これには3つの道があります。
1つは『安楽死』させることです。
つまり、製品・サービス・ビジネスをやめてしまうのです。
2つ目は泣かず飛ばずの製品・サービス・ビジネスを『売却』してしまうことです。
3つ目は『革新』を仕掛けることです。
『どうしようもない商店街、復興の見込みのない商品街』があります。
あなたがそこの商店主だったとしたら、あなたはどうしますか?
上記した3つの選択肢があることが理解できます。
①店舗を閉鎖しサラリーマンになる。
②店舗を売却し、資金を握る。その後、ショッピングセンターに入店して商売を続ける。
③商店街復興のために立ち上がる。
ところが、多くの商店主は第4の道を作ってしまいます。
そのまま、鳴かず飛ばずの商店経営を続け、瀕死になり、そして死亡していくのです。
3つ目の選択肢である商店街復興にも問題があります。
商圏内の小売企業の出店状態から判断して、安楽死させるべき商店街であるにもかかわらず、
さらにリニューアルに費用をかけている事例が数多く見られます。
商店主に新たな借金を強いているのです。
そのような事例は、私が実際に足を運んでみた見た限りの話ですが、
滋賀県、愛知県、京都府、東京都などに見られます。
このような商店街に対する判断は、自分の足で歩き回ると3時間程度でできるものです。
そのため、京阪、阪急、東横線、東武東上線、西武新宿線などの各駅で降車して、
商店街を歩き回り『ここはまだ大丈夫』『ここは危ない』『ここは救えない』といった形で判断の練習をしていたことがありました。
現在は専門分野を流通、マーチャンダイジング、マーケティング、商品開発、人事制度から
営業、起業、経営戦略、ソリューション、ケーススタディ論へと拡大させてきており、
企業訪問の方が増えています。
少し問題を複雑にしてしまったので整理していきます。
『鳴かず飛ばず』の製品・サービス・ビジネスの場合、必要とされる前提条件は
①革新を行なえば、再生・強化される
②起業家精神を持って新たな製品・サービス・ビジネスの創造を行い、それを加えれば再生・教化される
という判断です。
革新を行なっても再生・強化される可能性がなければ、
安楽死させるか、売却するかしかないのです。
大学教授時代にゼミ生が『巨大流通企業と商店街』という研究テーマを提出してきた時、
私は突き返しました。
彼は京都の有名な商店街にある商店の子息でした。
その時、私は『○○君、言っとくけど、大きくなったら悪いんか。雇用や地域経済に大手企業ほど貢献しているのではないか。平和堂は一店舗の靴屋からはじまったんや。顧客のニーズに応えたから、大きくなったんと違うのか。君は、大手流通企業が進出する度に出店反対闘争の先頭に立つのだな。そして、何%かの売場削減を行ない、祝杯をあげるんやな。すばらしい人生だなあ』と言いました。
彼は、それからメーカー志向になりました。
そして、地域経済に貢献しようと意思を固め、地銀に就職しました。
話を元に戻します。
革新することができないリビングデッドの製品・サービス・ビジネスに関わると、
人生が台無しになってしまうのです。
アメリカのベンチャー企業の定点視察(毎年、同一企業を訪問すること)で得たことは
①順調に推移していた旅行業者が、単体ではIPOできないことを理由に売却した
②丈夫で壊れないパソコンを作り、そこに教科書、父兄と教師の通信欄などを搭載するビジネスは、少しずつ広がりを見せビジネスとして一応の成功を収めるが、売却を考慮している
③インターネットによるバイオビジネスは倒産した
④CGIによる地図事業は6次の第三者割当増資を行なうが、未だIPOに至らず
⑤女性向けポータルサイトは売却した
というように非常に売却が多いということでした。
これらの事例は、いずれも一応の成功基準をIPOにおいており、
IPOができない場合は売却してしまうという非常にレベルの高い基準で経営を行なっていたのです。
IPOができなければ、その製品・サービス・ビジネスはリビングデッドである。
そのような製品・サービス・ビジネスに人生を捧げることはしないという考え方なのです。
もう一度、『アントレプレナーシップ』を持って
製品・サービス・ビジネスに革新の風を起こすようにしていきましょう。
スーパー・マーケットによって侵食され、顧客が来なくなった商店があります。
生殺与奪の権を発注先に握られてしまい、社員が高齢化し若い社員が入社してこない、
さらに利益があまり出ていないという八方ふさがりの下請メーカーがあります。
おいしくなく、メニューに特徴がなく、流行っていない飲食店があります。
業種・業界の需要が減少し、既に人員削減も実施し、
縮小均衡を余儀なくされていて今期も売上はダウンした、
来期も減額予算であるという企業があります。
このような会社を経営せざるをえないとしたら、あなたはどうしますか?
多くの企業は上記のような状態であるにもかかわらず、
変革もせず、進歩のないまま、そのまま経営を続けています。
どうしてなのでしょうか?
それは『アントレプレナーシップ』が存在していないからです。
そして、『経営能力』を磨いていないからです。
現状を変革していく意思も気迫も能力もないということです。
だから、現実、環境を変えることができないのです。既存の経営者・経営幹部・管理者がベンチャー企業から学ぶ点は
『アントレプレナーシップ』と『経営能力』にあるのです。経営塾に参加されているFさんは、社長を退任されました。
お身内に社長を譲るという円満退社でした。
その後、新規事業を起すためにビジネスプランをいくつも策定されています。
そして現在、ある会社の経営支援を週に3日間行なっておられます。
『ビジネスプランをさらにブラッシュアップしていこう。その間に市場に直接、触れておこう。長い社長生活で現場第一線の仕事をしていない。起業すれば営業から自分で行なう必要があるのだ。もう一度、一から修行をさせていただこう』という考えの元に、
週3日間経営のお手伝いをされているのです。
Fさんとは社長を退任された後、ゴルフを3回ご一緒させていただきました。
Fさんはお元気です。
意気軒昂です。
新しい戦いに向けて、静かに胸の情念・ほたびを燃やしておられます。
心に張りがあるということが感じられます。
ヘンリー・ミンツバークは
『ただ1人のリーダーに戦略形成のプロセスを集中させただけでなく、さらに直感、判断、知恵、経験、洞察など人間の知的活動に特有な要素を強調した。そして、方向性を示すパースペクティブとして戦略を捉える考え方を広めたのだ』と戦略形成に関して『アントレプレナースクール』を定義しています。
また、シュンペーターは
『革新をやめてしまえば、ただちに企業家としての役割は終わる』と述べています。
ミンツバークとシュンペーターの言を借りるとアントレプレナーとは
①戦略形成を一旦、ただ1人で行なう
②直感、判断、知恵、経験、洞察など人間の知的活動に特有な要素を発揮する
③革新を継続する
ということになるのです。
特にシュンペーターの『革新をやめてしまえば、ただちに企業家としての役割は終わる』という言葉の企業家を経営者に置き換えることができるか否かがアントレプレナーシップを保有しているか否かの分水嶺になるのです。
シードには
①製品(モノ商品)
②サービス(コト商品)
③ビジネス(事業)
の3つがあります。
いずれも既存の製品・サービス・ビジネスに対するイノベーションが必要とされます。
ここでいうイノベーションとは
・改善(悪さ加減を減らす)
・改良(良いとこをもっと伸ばす)
・改革(抜本的に作りなおす)
・創造(今までにないモノ・コトを作り出す)
という4つです。
『悪さ加減を減らす』改善であっても、
それが使い勝手を良くし、商品の寿命・耐久性を飛躍的に改善し、
コストパフォーマンスを飛躍的に改善するものであれば売れるかもしれません。
逆に今までにないモノ・コトを作り出す『創造』であったとしても、
市場性、競争力、収益性がなければ、その開発は頓挫せざるをえないことになるのです。
では、これらの『シード』はどこから来るのでしょうか?
ここで思い起こしていただきたいのが、
『勤務していた業種・業界での起業が90%である』ということです。
これはアントレプレナーが勤務しながら自分の所属する業種・業界の全体を見つめつつ、
自社の製品・サービス・ビジネスについて研究を重ねイノベーションに気付いたからでしょう。
『シード』は次のような場合に涌いてくることが多いのです。
①もっとおいしくできないか・・・・・・・・・・・・・飲食業での味の開発
②このような業態なら差別化できる・・・・・・・・・・小売業・飲食業での新業態開発
③使い勝手が悪い・・・・・・・・・・・・・・・・・・メーカーにおける製品開発
④省力化ができる・・・・・・・・・・・・・・・・・・メーカーにおける新技術開発
⑤もっと小型化できる・・・・・・・・・・・・・・・・メーカーにおける製品開発
⑥保険掛け金の負担が公平でない・・・・・・・・・・・新しい保険商品
⑦売れ残りのチケットがある・・・・・・・・・・・・・チケットのディスカウンター
⑧2月の○○は観光客がこない・・・・・・・・・・・・イベント
⑨さもおみやげという商品でないおみやげ商品を創る・・・・・・商品開発
⑩持ち運びに便利にしよう・・・・・・・・・・・・・・・・・・商品の改善
⑪これをコストダウンできると汎用性が高まる・・・・・・・・・基盤
⑫余分な機能を取り除き、単機能で安価にしよう・・・・・・・・コストダウン
⑬自分のこだわりに客観的な価値をもたせるようにしよう・・・・差別化・独創性
⑭不登校やニートが多い。何とかできないか・・・・・・・・・・ニーズ対応
⑮塾の究極のあり方は、個別対応かもしれない・・・・・・・・・究極の姿の追求
⑯この業態を、こう変化させれば、日本でも通用するのでは・・・応用・適用
⑰まったく違う理論から、技術を構築してみよう・・・・・・・・異質の技術開発
このように、シードは多様に涌いてくるものです。『シード』を製品・サービス・ビジネスに展開していくものが『ビジネスプラン』です。しかし、先にも述べましたように
『シード』から『ビジネスプラン』に展開していくプロセスで新規性・独創性、収益性、市場性、拡張性・伸張性、競争優位性がなければ、その『シード』は没にしなければならないのです。
一旦、起業すれば、資金、時間、能力など人生を賭けた戦いが待ち受けているのです。
その努力が報われるか否かは、基本的には『シード』の優劣にかかっているのです。
ですから、『シード』から『ビジネスプラン』のプロセスを厳しく点検する必要があるのです。社会に通用しないシードは早めに捨てて、
次の『シード』を創出することが求められています。
練りに練った『ビジネスプラン』であっても成功するとは限りません。
それよりも『シード』の伸びやかさ、力強さが肝要です。何回も捨てては創るというのが『シード』です。
そして、『シード』は絶対にいつか起業してやろうと考えている人の方が、
発見する確率が高いと思います。
私は『一般創業』と『ベンチャー企業』を結果的に分けて考えています。
なぜなら、次の基準でベンチャー企業を定義しているからです。
①優れたシードを有している
②資金調達と資金の費消に特段の配慮・考慮をしている
③マネジメントチーム(経営陣)の構成に努力している
④市場に受け入れられるように、製品・サービス・ビジネスを改良・改革している
⑤アントレプレナーシップが高く、経営能力を一定程度有している
⑥製品・サービス・ビジネスに将来性がある
飲食業を事例に取りますと、
『創作料理です。△△で修行をしていました。店舗を探しています』というのでは、
『一般創業』になってしまいます。
飲食業でのベンチャー企業の基準は
①顧客対象は○○です
②このような業態の店舗を出します
③メニューはこれです
④おいしいです
⑤料理は、このような特徴をもっています
⑥サービスはこのようにします
⑦店舗のオペレーションはこうです
⑧1ヶ月の運営費用は○○万円です
⑨調理方法はこのようにします
といったことを提案できるかどうかということです。
特に、どのような業態ないしはどのようなフォーマットの店舗を出そうとしているのか、
それがチェーン化できるのかがIPO可能か否かの鍵を握っています。
もう1つのポイントは、調理師に依存する業態ではチェーン化が図れないということです。
チェーン化が図れない飲食店には、収益性はあっても成長性がありません。
大阪のある商店街に10数店舗を保有している飲食企業があります。
この飲食企業に商店街から退店していく人が不動産を売りに来られます。
このため、いながらにして不動産を入手したのです。
しかし、同じ商店街に同一の業態を出すことはできません。
このため、この飲食企業では寿司(発祥店舗)、居酒屋、創作料理店、ふぐの専門店、中華、パブ、韓国料理など多様な業態を展開しています。
店舗ごとにオペレーション、調理方法が異なることから、
ローコスト・チェーンオペレーションができず、大変なマネジメントを要求されています。
この飲食企業は、チェーン化が可能な優れた業態を保有していますが、
この商店街から動こうとしません。
IPOをするだけが経営ではありません。
多様な業態を開発し、商店街というエリアの集客に寄与する経営があってもよいと思います。
今号は何を言いたいのかが、自分でもよく分かりません。
この原稿は将来書き直すということで、ともかくお送りします。
ごく稀にベンチャー企業の起業前にベンチャーキャピタルからの投資があり、
資金準備を行なった後に起業するという恵まれた事例があります。
これをアーリーステージ時での投資といいます。
逆に、ベンチャー企業の有望性が多くの人に認識されてから、
投資する場合はレイトステージでの投資といいます。
概ね、研究開発期、起業期(スタートアップ)、生業期、ファーストステージをアーリーステージといい、初期成長期、中期成長期に入る頃をレイトステージといいます。
本格的成長期に入る頃には、ベンチャー企業はベンチャーキャピタルを必要としなくなるのです。
あるベンチャー企業の社長がビジネスプランと組織図を持って、
ベンチャーキャピタルを訪問しプレゼンテーションを行ないました。
この結果、あるベンチャーキャピタルから3億円の投資がありました。
このベンチャー企業には複数のベンチャーキャピタルが投資しました。
あるベンチャーキャピタリストはビジネスプランではなく、
『マネジメントチーム(経営陣)が優れており、それに期待して投資した』と語っていました。
このベンチャー企業は紆余曲折を経て、当初、想定していたビジネスではなく、
ビジネスモデルを大きく変更してIPOを行なうことができました。
極めて創発的な経営戦略に気付き、それを実行したのです。
その結果がIPOにつながったのです。
これはビジネスモデルを変更したマネジメントチームが優れていたからであり、
その経営陣に投資したベンチャーキャピタリストも優れていたというべきです。
アメリカのベンチャーキャピタルは
①研究開発期を脱するに必要な資金
②スタートアップ期を通過するのに必要な資金
③ファーストステージを脱するに必要な資金
というように、ステージを明確にして小刻みに投資をしてリスクを最低限度にしていることがよく見受けられます。
この投資方法によって、
アントレプレナーは厳しいチェックにさらされることになるのです。
つまり、一度に3億円といった投資を行なうのではなく、
2000万円、3000万円というように小刻みな投資を行ない、
アントレプレナーに経営を前進させることを求め、その一方でリスクを低減しているのです。
ところが、日本ではそのような投資形態ではなく、
一度に大きな投資が行なわれています。
このため、悲劇が起こる場合があります。
特に技術系のアントレプレナーに発生しがちです。
関西のある技術系ベンチャー企業に2億円が投資されました。
ところが、アントレプレナーは投資された2億円をすべて研究開発に使ってしまったのです。
製品開発を行い、さらにファーストステージに向かう必要があるにもかかわらず、
資金が底をついてしまったのです。
その後、このアントレプレナーは卸売企業に泣き付きました。
この卸売企業が資金を出して、製品開発にこぎつけました。
しかし、販売権は全てこの卸売企業が握ることとなったのです。
アントレプレナーは、この卸売企業の意のままに動かざるをえなくなったのです。
ここで必要だったことは
①1億円を研究開発期に充てる
②製品開発に5000万円を充てる
③ファーストステージに5000万円を充てる
という計画性だったのです。
1億円で研究開発を行なうということを決定して研究開発に立ち向かえば、
それなりに効率的な研究ができたはずなのです。
このアントレプレナーに優秀な経営スタッフがついていたら、
このような事態にはならなかったと思います。
先の事例はIPOを果たし、後の事例は他社の軍門に下っているのです。
経営能力の差が出ていると言わざるをえないのです。
ビジネスプランの評価基準☆は
①新規性・独創性
②市場性
③競争優位性
④拡張性・伸張性
⑤収益性
⑥脅威・危機管理
の6つです。
これら6つの基準で製品・サービス・ビジネスを評価しますと
おおよその評価が可能です。
製品・サービス・ビジネスが市場に受け入れられるかという問いを発するのが『市場性』です。
製品・サービス・ビジネスの使用(利用)場面、使用(利用)方法などが容易に想起される必要があります。
使っている姿が想起されるとニーズがあるということになるのです。
この上で、製品・サービス・ビジネスに『新規性・独創性』があり、
それが差別化要因となり、『競争優位性』にもつながっていることがポイントになります。
『収益性』はあって当り前であり、
ベンチャー企業には一般的には高い粗利益の製品・サービス・ビジネスであることが求められています。
そして、その製品・サービス・ビジネスが、
今後伸びていくのか、成長性を具備しているのかという『拡張性・伸張性』が必要とされます。
そして、『脅威』は何か、その製品・サービス・ビジネスに襲ってくるかもしれない『危機』は何かということを探り、事前に対策を講じておくことが求められます。
例えば、中小企業診断士の資格を取得したとします。
直ちに開業だと思いがちですがそうはいきません。
中小企業診断士になるためには商品作りが必要です。
その商品(たとえば、営業、経営戦略、商品開発、経営診断、生産管理など)に
上記の①~⑤が求められているのです。
売るもの=商品がなくては、中小企業診断士は経営コンサルタントになれないのです。
一般の起業に話を戻しますと、
起業後は経営能力の有無が問われます。
それもスピードを伴った経営能力です。
なぜなら、生活費と経営に要する資金との競争で市場開発=売上の確保が必要とされるからです。
潤沢な資金を持って起業するということは稀なことであるからです。
寂しくリタイアしていくベンチャー企業が多いことを理解しておいてください。
日本のベンチャー企業は『少産・多死』というのが現実なのです。
なお、上記の新規性・独創性、市場性、競争優位性、拡張性・伸張性、収益性、危機管理という6項目を集めてビジネスプランの評価基準としたのは、服部です。
しかし、これらの概念はすべて既存のものであり
本当の意味でのオリジナル性があるとはいえないものです。
また、これらの基準は指導・援助・アドバイスする側だけでなく、
当のアントレプレナーが自分のビジネスプランを評価する際にも使用できる考え方です。
ここをもっと発展させるべきなのですが、
私はここでストップしてしまい、新たな基準を見出せていません。
まだまだ研究の余地があり、日々、起業が続いており、
ニーズの大きな分野・領域になっています。
ビジネスプラン評価の研究に誰かエントリーしてください。
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☆ 『MBAのビジネスプラン』 服部吉伸 文理閣 2001年
何か1つ製品・サービス・ビジネスに対して、
ビジネスシード(種子)を思いつき、
それで起業が成功するということは、まずありえないことです。
私は京都起業家学校のコーディネーターを4年間ほどしていました。
理系のある学生は起業家学校在学中に6~7程度のビジネスプランを策定していました。
6ヶ月間程度の起業家学校開講中に
ビジネスプランを策定しては潰し、策定しては潰しを繰り返していたのです。
この学生のビジネスプランを策定しては潰しという方法は正しいものなのです。『ビジネスプランを何度も策定するということ』が極めて重要なことなのです。多くの人は、1つの製品・サービス・ビジネスを思いつくと
後生大事に抱え込み、それを暖め孵化させようとします。
しかし、そのほとんどが起業をすべきでない製品・サービス・ビジネスであるのです。
先ほどの学生は20以上のビジネスプランを策定し、大学卒業後に起業しています。
この起業家学校で同期生だった人も彼の会社に入社しビジネスを支援しています。
この種の起業家学校で重要なことは、
①ビジネスプランの策定法
②ビジネスプランの評価法
③②に基づいて、財務諸表を作成する。財務に強くなる
④起業後は経営能力が必要とされることから、経営戦略、マネジメント、オペレーション、組織の確立、資金調達、経営計画、営業、開発などの学習を行なう
といった役割を果すことです。
また、『起業は慎重に』ということもあわせて教育していく必要があります。
ところが、起業家学校の主催者側は起業数が少ないことにこだわっています。
起業家学校では、
①単に勉強をしようという人
②将来、起業することがあるかもしれないので勉強しておこうという人
③現在、ビジネスシードを持っており、これを育成し起業に結びつけるために勉強をしようという人
④すでに会社を退職しており、何が何でも起業をしようという人
というように多様な人が講義を受けています。
その性格によりますが、
起業家学校は①②を排除し、③④を入校させるのが一般的です。
なぜなら、①②の人々はビジネスシードを保有していないため、
ビジネスプランを策定することができないからです。
③のビジネスシードを持っている人であっても
優れたビジネスシードを保有している人は極めて少ないのが現実です。
起業可能なビジネスシードは20に1つ程度なのです。
④の失業中、あるいは起業するために会社をやめた人であって、
ビジネスプランが社会に通用しない、
また、経営能力を今後身につける可能性がない場合は、
起業せずにもう一度、『履歴書社会』に戻った方がよいのです。
起業願望の強い人も、気持ちだけでは起業ができないのです。
転職であっても、転職希望者が会社を退社する時期と
求人側とのタイミングが合致しなければ転職は成立しません。
ましてや起業には
①所要資金の調達
②製品・サービス・ビジネスの差別化
③アントレプレナーの経営能力
④営業責任者、財務責任者、製造責任者などの協力者の確保
⑤市場開発に対する研究・事前準備
⑥仕入先の確保
⑦取引条件の研究・確立
⑧就業規則等諸規定の準備
⑨各種補助金の研究・獲得
⑩共同研究・コラボレーション先の確保
⑪財務シミュレーションの徹底
⑫襲ってくる可能性のある危機は何か
といった準備が必要とされるのです。
以上の準備を行ない主体的条件が揃ったとしても、
業種・業界の競争条件がダンピング、価格低下、収益悪化、需要の急減などといったことで厳しさを増しておれば、起業は断念せざるをえない場合もあるのです。
各地の起業家学校、創業支援を行なっている組織は、
このことを踏まえてアントレプレナー支援を幅広く捉えることが肝要です。
間違っても6ヶ月やそこらの期間の教育で、
『起業目標数』などを設定してはならないのです。
講師を入れ替えれば、当然講座のカリキュラムは変更されます。
だからといって、起業数が増えるわけではありません。
また、起業数を多くすると『リビングデッド(生きる屍)』を大量生産することになるのです。人の人生を台無しにすることになるのです。
『起業はできる。しかし、起業はやめなさい。なぜなら、起業後の成長性がないからである』と言って制止するような基準の高い講師を採用すべきなのです。
あるビジネスプランで陳腐であり在庫設定で資金が必要とされることから、
『絶対に起業してはならない』と指導した方がこっそりと起業し、
一年を経過しないうちに事業を清算していました。
また別件では、携帯電話用のプリンターを開発するビジネスプランにも
『やめなさい。ニーズがない』と主張しました。
この方が主張するニーズ(使用場面、使用方法)は、
『山間部に入ると携帯電話の受信力が落ちる。そこでプリンターが必要である』というものでした。
携帯電話用のプリンターは小型で精密さが求められることから、
試作が数十万円でできるとは考えられません。
開発はしたものの、ニーズがなくビジネスは頓挫すると私は考え、
『開発をしてはならない。他の製品・サービス・ビジネスを考えましよう』と指導・援助・アドバイスを送りました。
起業は、慎重に・・・
『頃は如月18日、酉の刻ばかりのことなるに、おりふし北風激しくて、磯打つ波も高かりけり。与一、目を塞いで、南無八幡大菩薩、別してはわが国の大神明、那須ゆぜん大明神、願わくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまえ。これを射損ずるほどならば、弓切り折り自害して再び、人に面(おもて)を向かうべからず・・・・・』
これは平家物語の一説ですが、
いつ頃読んだのかも忘れてしまいました。
たぶん、名文で流れるようなリズム感があるので、
その一説を覚えてしまったのだと思います。
いつも2月になると、
平家物語の一説が頭に浮かび、
那須の与一も命がけだったのだ、大変だったのだあと思い、
私もガンバロォーなんて殊勝な気持ちになっていました。
人のモチベーションは、意外なところにあります。
さあ、季節は如月2月です。
寒いですが、健康に留意しましよう。
今号からはしばらく『ビジネスプラン論』で
製品・サービス・ビジネスの開発、アントレプレナーシップ、創業期の経営などを追ってみます。
私は京都の顧問会社を訪れたとき、
ある場所に立ち寄るようにしています。
なぜなら、そこでFさんとYさんが起業をしているからです。
その会社では、優れた企画力・営業力を持つIさんが取締役として協力しています。
この方達は、かつてサラリーマンでした。
サラリーマンは、『履歴書』を書いて就社します。
このことから、サラリーマン社会のことを『履歴書社会』と私は呼んでいます。
一方、『ビジネスプラン社会』と呼んでいるものにエントリーしようとした場合、
履歴書の代わりに『ビジネスプラン』が必要とされます。
『ビジネスプラン』が社会に通用し、
かつ、そのアントレプレナーに経営能力があれば、
起業は成功する確率が高くなります。
大企業の経営者の方も偉いと思います。
新入社員で入り、営々と努力を重ね、
多くの場合、50歳台で平の取締役になり、
さらに努力を重ねて代表取締役になっていきます。
そして、年俸が4~5000万円といったあたりでしょうか!
一方、アントレプレナーの平均像☆は
①40歳前後
②保有資金数百万円
③起業前の業種・業界への勤務が、平均で7~8年
④勤務していた業種・業界の製品・サービス・ビジネスでの起業が90%
⑤経営職経験ほとんどなし
⑥学歴は比較的高い
⑦理工系が最も多く、経済・経営・商学部系がそれに続く
というものです。
これは国民金融公庫の融資実績からの分析(学歴を除く)とも酷似しており、
日米共にアントレプレナーの実像は、似通ったものになっています。
ビジネスプラン社会について、日米比較を行なって事態を深めておきますと
①日本は少産・多死、アメリカは多産・多死
②日本のIPOは100強、アメリカのそれは500以上で4倍以上(人口比では2倍以上)
③日本は大企業の子会社の設立が多く、アメリカは個人の起業が多い
④アメリカのベンチャー企業には、財務、営業、システム責任者などにMBA修了の優秀な人材が加わる場合があり起業成功の確率が高い
⑤ベンチャーキャピタルの1案件当りの投資額がアメリカは大きい
⑥アメリカにはエンジェルが幾層もいる
⑦起業失敗後、アメリカはアントレプレナーの再起が可能
⑧アメリカの方がアントレプレナーの経営能力が高い
といわれています。ビジネスプラン社会へのエントリーは慎重に行なうべきです。
ビジネスプラン社会への門戸は平等に開かれていますが、
重要なポイントは、優れたビジネスプランと経営能力の2つになります。※2007年2月に書かれた原文を基に掲載しております。
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☆ 『ベンチャー創造の理論と戦略』ジェフリー・A・ハンター1999年 ダイヤモンド社